皆さん、こんにちは。北京支社の范(ハン)です。今回は、中国で人気のレストラン「海底撈火鍋(ハイディラオ)」をご紹介します。
家電とは直接関係ありませんが、お客様へのおもてなしや従業員のモチベーションの上げ方など、参考になることが多いのでお伝えしたいと思います。
中国の人気レストラン「海底撈火鍋」とは?
中国の火鍋チェーン店「海底撈火鍋」が昨年9月に東京に上陸しました。日本ではあまり知られていませんが、中国では知らない人がいないくらいの有名店です。四川をはじめ、中国各地の代表的な火鍋が楽しめるお店ですが、料理に限らず、サービスやパフォーマンスの高さで人気を集めています。
大手企業も注目しているサービスの高さ
HUAWEIや小米などの1,000億元規模の企業も、管理職層に必ず海底撈のサービスを体験させているようです。また、一般のお客様も、海底撈のサービスを体験するために、地方からわざわざ大都市にでてくる方も少なくありません。
サービスを受けたお客様から、「席待ちの間に無料で靴磨きをしてくれるし、女房にネイルをしてくれるし、本当に珍しい!わざと店員に迷惑をかけても怒らないし、にこにこしてくれる。もはや変態じゃないか!」という感想まで出るほどです。
欧米や日本ではありふれたサービスかもしれませんが、まだまだレベルの低い中国のサービス業でそこまでできるのは、確かにすごいことなのです。
意識が高い海底撈のスタッフ
他のレストランでは、ホールスタッフがダラダラしていることが多いのですが、 海底撈では皆小走りで料理を運んでいます。理由を尋ねると、「お客様が海底撈にお金を払いに来てるんだから、我々は走ってそのお金をもらわなきゃ。このテーブルのお客様が早く食べ終わったら、次のお客様がまた入ってこられるでしょう。」と答えました。簡単な理屈ですが、そこまで意識をもって働いているスタッフは他のレストランではなかなかいません。
日本で想像を超えるサービスで人気なレストランと言えば、 「カシータ」が有名です。そこのサービスと比べたら、海底撈は大したことはないと思われるかもしれません。しかし、良いサービスを真似するのは簡単ですが、スタッフ一人一人が自発的に意識を持たなければ絶対に長続きしません。
日本の流通企業も中国に進出し、日本式接客を進めようと試みましたが、大体は挫折してしまっています。海底撈は個性の強い中国人一人一人を、本当にお客様志向にさせているので、その点が大きな強みとなっているのです。また、多くの企業が海底撈から学ぼうとしても習得できないのは、やはり表面的なものしか見えていないからでしょう。底にある文化までは簡単に真似できないのです。
充実した生活環境と研修
海底撈の従業員の意識が高いのは、就業時間以外の生活のことまで考えられた、環境や研修もポイントとなっていると思います。
例えば、一般的なレストランのスタッフは地下室に泊まり、お店のまかないを食べていますが、海底撈の宿舎はちゃんとした団地にある部屋で、パソコンやWi-Fiも使えます。また、洗濯や料理も専門のパートさんがやってくれます。
入社研修は普通の店内研修だけでなく、ATMの使い方や、地下鉄の乗り方まで教えてもらえます。これは、田舎から出てきた人達が早くその都市になれるように企業が配慮しているのです。そこまでされたら従業員は感激するでしょう。どこの出身でも、どんな学歴でも同じように尊重され、公平にチャンスを与えられるのです。
麻雀で従業員を激励!?
海底撈の創始者「張勇氏」は面白い麻雀哲学をもつことで有名です。なんと、麻雀を通して従業員を激励するそうなのです。
麻雀をやる時には、誰も遅刻しませんし、環境を選びませんし、どこでも楽しんでやります。よく麻雀をやる人は、負けても自分が付いていないと思い、人のせいにしません。これは、仕事中に置き換えても理想的な状態ではないでしょうか。そういう理由から張勇氏は、麻雀を通して従業員の積極性や自己管理能力を高めているらしいのです。
家族のことまで考えられた待遇
従業員のモチベーションを高めることに成功している張勇氏ですが、これまで苦労も多かったようです。張勇氏はどん底からスタートしたため、大変な環境にいる人達の気持ちをよく知っています。その経験があったからこそ、従業員のことを本当に考えた待遇へと結びついているのです。
例えば、待遇の1つに会社から従業員のご両親への仕送り制度があります。対象となるホール責任者、店長以上の幹部、優秀従業員のご両親に毎月数百元の仕送りをしているのです。そうすることで、ご両親から子どもにこれからも頑張りなさいと応援してくれるようになります。
また、学校を建設し従業員の子どもを無料で通わせられるようにしたり、専門基金を設立し毎年100万元を、従業員や直系親族の重病患者のための治療費にあてています。
他にも、海外のチップ制からヒントを得て、料理を運ぶたびにプラスチックのコインをもらい、多く獲得した人には給料以外の特別手当を与えます。全体的にコストが上がらない中、多く働いている人にはしっかりと奨励がもらえる仕組みになっています。
しっかりとした人事評価
店長からの人事評価は、利益や売上を基準にするのではなく、顧客満足度と仕事への積極性を元にしています。また、お店には定期的に覆面調査が行われ、従業員のサービスをチェックしています。顧客満足度や従業員のモチベーションが高ければ、利益もしっかりついてくることを、海底撈はしっかり証明しています。
最後に
料理やサービス評価に厳しい日本で、はたして海底撈は日本の方々の心も掴むことができるのでしょうか。スタッフ一人一人がお客様に真心で接することで、異文化の壁を壊してもらいたいです。ぜひ頑張ってほしいです。応援しています!
↓お店の情報↓
海底撈火鍋(ハイディラオ) 東京店
電話番号:03-5956-9666 →事前電話予約をオススメします。日本語が話せるスタッフもいます。
住所:東京都豊島区南池袋1-21-2 ヒューマックスパビリオン南池袋 5F・6F
営業時間:10:30~24:00
定休日:無休
交通手段:池袋東口から駅前通りを南に徒歩5分くらい