主要家電量販企業の店舗数
主要量販企業9社(ヤマダ電機、ビックカメラ、エディオン、ヨドバシカメラ、ケーズデンキ、上新電機、ノジマ、コジマ、ベスト電器)の店舗数は2015年第三四半期現在、およそ2,400店舗と推計されます。家電量販企業は、標準化された店舗を数多く出店することにより、売上規模を大きく拡大してきましたが、2015年度は異変が起きています。家電量販店の店舗数は減少に転じているのです。
店舗数減少の要因は?
ヤマダ電機は2015年5月〜6月にかけて、約60店舗の撤退及び業態変更を発表しましたし、コジマもビックカメラの傘下に入ってから、大量に店舗を閉鎖しています。一方で、ケーズデンキ、エディオン、ノジマの3社は、積極的に出店を進めています。しかし、出店と同時にスクラップ&ビルドも積極的に進めています。
現在、家電量販市場がゼロサム市場となっており、ある企業が出店すると、別の企業は撤退するという市場になりつつあります。その原因は以下に挙げた家電量販企業の内部的要因と外部的要因にあると考えられます。
内部的要因 | |
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1. | 家電量販企業は売上重視から効率面の重視に移行している |
2. | 家電量販企業は売上重視+収益重視となっている |
外部的要因 | |
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1. | 家電市場の伸び悩み |
2. | インターネット販売の増加 |
3. | 少子高齢化による労働人口の減少 |
4. | 新しい市場拡大商品の不足 |
店舗数の減少は売上・利益にどのように影響したのか?
内部的要因について少し説明致します。
先述した通り、2015年の5月〜6月にヤマダ電機は、約60店舗の撤退を発表しました。当時、一部メディアでは撤退報道はマイナス的要因として批判的に取り上げられましたが、ヤマダ電機の月次情報を見ると、撤退の影響は全く見られません。
2016年2月現在、売場面積は前年比96.1%ですが、売上は前年比104.7%と逆に伸びています。売場が少なくなり、売上が伸長しているので、1㎡当たり売上は大きく改善しているのが分かります。
同じく、コジマの売場面積の推移を見ると、2015年9月と2016年2月の比較では、売場は99%と1%減少しています。しかし、売上高は102%と伸びており、こちらも効率の改善が見られます。
つまり、ヤマダ電機、コジマといった企業は経営改革の一環として店舗のスクラップを進め、その結果が数字にも表れています。店舗の撤退は、効率だけでなく、収益面にも大きく影響を及ぼしているのです。2015年度通期の決算数字が出てきましたが、各社の売上高は微減・横ばいでも収益は大きく改善しています。
家電量販店の適正店舗数は?
ところで、家電量販企業は全国に2,400店舗前後ありますが、適正店舗数はどれくらいでしょう。現在、主要家電量販企業9社の売上高の合計は約5兆円です。
この中で、都市型店舗であるヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機のLABI店の売上を除くと、郊外型店舗による売上は3.5兆円程度あります。郊外型の家電量販企業は、2,300店舗程度あり、1店舗の売上は15億円程度です。
家電量販企業の損益分岐点は、家賃や人件費等で大きく異なりますが、18~20億円程度が多いと言われています。これらの状況から、郊外店の適正店舗数を割り出すと、1,750店~1,945店程度です。現在、家電量販店舗は都市型、郊外型合わせて約2,400店舗ですが、今後も家電量販各社は、スクラップ&ビルドや店舗の業態変更等を行い、2,000店舗程度まで縮小していくものと考えられます。