【北京家電レポート】Vol.6 蘇寧の新たなチャレンジ

皆さん、こんにちは。北京支社の范(ハン)です。
前回、北京蘇寧生活広場をご紹介しましたが、今回は「蘇寧易購(suning.com)」というタイプのお店をご紹介します。

蘇寧易購(suning.com)とは?

「蘇寧易購(suning.com)」は、蘇寧が展開するお店の一つです。昨年の7月31日にリニューアルオープンされ、当時蘇寧クラウド店1号店として話題を呼びました。
ほぼ1年経った現在、いたるところで新たなチャレンジを目にすることができましたので、どのように変わったのか、昨年の写真と比較しながらご紹介したいと思います。

一年前と現在を徹底比較!

まずは入り口から。現在の入り口には「蘇寧ネット通販で貧困地区応援示範店」という文字が目立ちます。
これを打ち出したのは昨年の10月で、「果物や米など農産物をたくさん持っているけど、販売ルートがない農村の貧困地区を助けよう」という中央政府の呼びかけに応えた動きの一つです。

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2015年時の入り口
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2016年時の入り口

店内に入ってみると、入り口右側の一番目立つ場所は、地方の特産物の売り場になっています。

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売り場正面
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売り場裏の看板

商品はサンプルのみ展示!?

ただし、すべては展示用のサンプルなので、店内では購入できません。それぞれの商品にQRコードがあり、読み込むと蘇寧易購のHPにつながります。そこからオンラインで注文すると、3日~5日で産地から直接自宅まで届けてくれます。

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干し山芋のスライス
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キノコの一種

その場で買えないのは残念でしたが、お店にとっては在庫を持たずに済むので、店舗の負担を軽減させることができます。また、注文が入ったら、産地から直接輸送することで輸送時の破損なども防ぐことができ効率が良いのです。

試しに興味のある商品のQRコードを読み込んでみましたが、自分がやった5つの商品の内、3つも売り切れ状態で、人気ぶりを実感しました。

商品とその商品を求めているお客様をつなぐ架け橋に

知名度の低い地方の商品は、全国にネットワークを持つ蘇寧の店舗を通すことで、大都市にいるお客様にも認知してもらえるようになりました。
例えば、『ヘルシーで、天然のおいしい果物やおやつを買いたい人』と『それを提供できる地域』を、ネットや店舗を通して繋げることができるのです。

実際、処分されそうなリンゴを3日間で300万㎏販売したことで、農業部から高く評価されています。(2016年6月22日Finance.china.com.cnの記事による)
このことから、地方とお客様をつなぐ架け橋になっていることを蘇寧は証明したのです。

地方の活性化への取り組み

実際に蘇寧のネット通販のHPを開くと、中華特産館という項目が目に入ります。各地方のページには必ず地域の特色が商品と共に詳しく紹介されています。

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suning.comのホームページ
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中華特産館のページ

食べ物以外に、地方の特色のある工芸品やお酒などもあります。

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工芸品と果物ページ
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お酒とサプリのページ

貧しい村への支援

蘇寧は国務院貧困地区応援本部と連携し、各貧困の鎮(人口の少ない村のこと)に1つの特産品を出してもらい、蘇寧のオムニチャネルで販売を促進することにしました。それにより全国104の貧困県、1万余りの貧困村、234万貧困世代、761万の貧困人口が恵まれます。

販売支援以外に、蘇寧が自身のサプライチェーン金融、ビッグデータ分析、商品製造の標準化などの資源を貧困地区にオープンし、貧困地区が自ら豊かになれるよう全面的に応援しています。これはやはり家電量販店としては新たなチャレンジであり、業界的にも画期的な行動と言えるでしょう。

売り場の変化

さらに店の奥に入ると、もう一つ大きな変化を見つけました。
昨年、家具と家電を絡めて提案していたスペースが、

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2015年時

今年は「ネット+省エネ商品ショップの示範店」になっています。

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ネット+省エネ商品ショップ : 入り口 ①
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ネット+省エネ商品ショップ : 入り口 ②

展示面積は200平米、一般家庭のリビング、ダイニング、書斎、スポーツ部屋、子供部屋、キッチンなどをイメージし、最先端のスマート家電(冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンなど)、3Dプリンター、スマートロボット、電子ピアノ、センサーのついている蛇口など、数十点の省エネ商品をまとめて展示しています。

ここでは、お客様が「最新のネット環境のある新しい生活スタイル」を体験することができ、「省エネ手当」対象商品のセット購入ができます。また、お客様のニーズに合わせ、専門のスタッフが案内してくれます。

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展示コーナーのレイアウト
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展示されている省エネ商品

このように大きく売り場が変わったのは、昨年11月27日より北京で改めて省エネ商品補助金政策を打ち出したことに関係しています。北京ではテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、給湯器、レンジフード、空気清浄器の七種類の商品を購入する場合、省エネ指数1級対象商品に13%、2級対象商品8%、最高800元の補助金をもらうことができます。

蘇寧もその政策に全面的に協力し、2016年5月末までの約半年間で、北京全店舗で省エネ商品の売上構成比を86%程高くし、計35万台を販売しました。省エネ商品を推奨するために、北京の蘇寧店舗ではニュース、テレビ、ラジオ、バスの車体など、さまざまなメディアに広告を出し、さらに省エネ商品推奨ウイーク期間として、ダブル補助金政策を行いました。北京にある蘇寧の各店舗で、1級、2級のエアコン、冷蔵庫、洗濯機、レンジフード、給湯器と指定の空気清浄器を購入する場合、政府の補助金以外に、10~15%の蘇寧補助金がもらえ、さらに、単価が1500元以上の指定商品を購入する場合、100元のキャッシュバックがもらえます。

2012年の6月~2013年の5月までの省エネ商品補助金政策により、家電製品の先食いが目立ち、ここ数年、家電業界の市場は低迷状況が続いています。
今回の新しい政策は、確実に消費を刺激したように見え、家電メーカーの商品品質改善を推進する効果もあるでしょう。ただし、政策終了後、家電業界はどのように変わっていくかは断言できません。メーカーも流通業もやはり大きく変革しなければいけないと思われます。

チャレンジと結果

多くのチャレンジの中には、上手くいっていないものもあるようです。
昨年この店舗で蘇寧自営のカフェが始まりました。オープン当時は、二人分を注文すると一人分が無料になるセールを実施し、大盛況でした。
しかし、今回行った際は平日だったせいかもしれませんが、がらんとしていて、電気も消され、とても暗いイメージを受けました。

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2015年オープン時:お客さんで賑わっている
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2016年現在:がらんとしている

最後に

2009年より、蘇寧はモデルチェンジをスタートし、6年間「心臓と脳以外に、可能な外科手術をすべて行った」と言われるくらいさまざまなチャレンジをしてきました。

その結果、2014年と2015年の純利益が黒字になっているように見えますが、実は「資産証券化」と「海外子会社の売却」という要素を除き、営業利益はいずれも赤字でした。

2016年第一四半期の利益総額が-4.33億元、純利益-3.6億元、上場会社株主に属する純利益-2.96億元と、未だ厳しい状況にあります。蘇寧は全国に1577店舗(2015年末時点)を展開する規模ですから、変革するのは決して容易なことではありません。中国家電業界の代表である蘇寧の動きをこれからも追っていきたいと思います。