はじめに
洗濯機は冷蔵庫と同じく世帯普及率がほぼ100%の商品で、市場は買い替えで成り立っています。ただし、この10年の歩き方は冷蔵庫と正反対でした。1台あたりの平均単価は2016年度の71,429円から2024年度の96,279円まで、9年間で24,850円上がっています。台数が2020年度の4,877千台をピークに2024年度の4,073千台まで減るなかでも、出荷金額は2022年度に4,000億円の最高を記録しました。台数の減少を単価が補ってきた市場です。
単価を押し上げてきたのは洗濯乾燥機です。出荷台数に占める割合は2016年度の22.5%から2022年度の28.0%まで上がりました。2025年度の平均単価で比べると、洗濯乾燥機は181,441円、それ以外は57,502円で、3倍以上の開きがあります。この構成比が1ポイント動くだけで全体の単価が1,200円ほど変わる計算になるため、洗濯機の市場を読むときは台数より構成比を先に見るのが有効です。
その上がり方が2025年度に止まりました。台数は4,330千台、前年度比106.3%と大きく戻った一方で、金額は3,889億円、99.2%と前年を下回っています。平均単価は96,279円から89,817円へ、1年で6,462円下がりました。上がり続けてきた単価が下がったのは、この統計を遡れる2016年度以降で初めてです。洗濯乾燥機の構成比も2022年度の28.0%から26.1%まで下がりました。
読むときの注意は2つあります。1つは、この統計が示すのはメーカーからの出荷であって店頭で売れた数ではないことです。ずれた月には流通在庫が動いています。もう1つは季節性で、3月は新生活向けの小型が集中するため単価が下がり、9月は買い替えの中心が上位機に寄るため上がります。2026年で見ると3月が79,566円、前年の9月が107,249円で、3万円近い差がありました。単価は月どうしで比べず、前年の同じ月か年度で見てください。
2026年6月の出荷は331千台、前年同月比98.9%でした。4月97.8%、5月97.6%と続いて3ヶ月連続のマイナスです。ただし落ち込みの幅は1〜2%にとどまっており、水準が崩れたわけではありません。2026年度の第1四半期でまとめると958千台、前年同期比98.1%です。前年の同じ時期が101.1%と伸びていたので、その反動を受けながら2%以内の減少で収まっている形になります。
年度別に切り替えると、この2〜3%の動きがどれだけ小さいかが分かります。年度の出荷台数は2020年度の4,877千台を最高に、2024年度の4,073千台まで4年間で16%減りました。そこから2025年度は4,330千台、前年度比106.3%と大きく戻しています。2016年度以降で105%を超えた年度は、2016年度の110.6%と2020年度の105.2%しかありません。2025年度の伸びはそれに並ぶ大きさです。
伸びた中身を見ると、月ごとの偏りが目立ちます。2026年1月117.2%、2月117.0%、3月108.1%と年明けの3ヶ月が突出しており、この時期だけで前年を145千台上回りました。前年の同じ時期が伸び悩んでいた反動と、買い替えを先送りしていた分が動いたことが重なっています。このまとまった動きが4月以降の反動を作っており、いま出ているマイナスはその裏側にあたります。
店頭と比べると、その反動の形がはっきりします。2026年5月は出荷97.6%に対して家電量販各社の洗濯機売上が107.4〜112.4%と3社そろって1割前後のプラスでした。売れた分を手持ちの在庫で賄っていたことになります。6月は出荷98.9%に対して店頭が94.0〜96.2%と、今度は店頭のほうが弱くなりました。7月の店頭は107.2〜110.1%まで戻っており、6月に積まれた分が動いたかどうかは、7月分の出荷が公表される時点で確かめられます。


