はじめに
家電のEC市場は拡大を続けており、経済産業省のデータでは2024年のEC化率が43%に達しています。 しかし、この数字を額面通りに受け取ることには慎重であるべきです。まず、経産省の公表値を逆算すると 国内家電市場規模を約6.2兆円と置いて計算していることになりますが、実際の家電市場は7~8兆円規模と されており、仮に7兆円を分母とすればEC化率は38.3%に低下します。
さらに分子となるEC市場規模に ついても、楽天やAmazonと家電量販企業の売上が一部重複しているため、厳密に整理すると国内の 家電EC市場は約1.7兆円程度と推計されます。この前提に立つと、実態に沿ったEC化率は分母7兆円で24.2%、 8兆円で21.2%となり、公式発表値よりも低い水準が妥当と考えられます。
また、カテゴリによってEC化率が大きく異なる点にも注意が必要です。PC・周辺機器などECとの 親和性が高いカテゴリが全体を押し上げている一方、総務省の家計調査では、二人以上世帯の家電EC支出が2022年を底に3年続けて増えており、2025年は年間17,073円とコロナ期の最高水準に迫っています。地域別・都市規模別に見ると、関東の大都市圏と地方・小都市では 家電EC支出に約2倍の差があり、EC普及の恩恵が全国で均一に広がっているわけではありません。
一方で、メルカリに代表されるCtoC市場では家電取引が年換算1,000億円を超える規模に成長しており、 消費者が「フリマで売れる価格」を意識しながら新品購入を判断するという新たな行動様式も生まれています。 こうした複数の公的・民間データを重ね合わせることで、初めて家電ECの実態が立体的に見えてきます。 本ページでは、経産省・総務省・メルカリIRなど多様なデータをもとに、家電販売におけるECの現在地を 多角的に読み解きます。単一のデータでは捉えきれない「家電ECの実像」を、ぜひデータとともに確認して いただければと思います。
