はじめに
補聴器は、家電量販店が扱う商品の中では買われ方が特殊です。医療機器に分類され、多くは補聴器専門店や眼鏡店で聴力を測り、調整を受けながら購入されます。1台あたりの価格は10万円から30万円が中心です。国内の出荷台数は2025年に654,366台となり、統計を遡れる1990年以降で最も多くなりました。1990年の301,178台から36年で2.2倍です。5年ごとの平均で見ても、1991〜1995年の333,823台から2021〜2025年の627,577台まで、6期続けて増えています。
ただし出荷が最高でも、普及が進んだとは言えません。2025年の調査では、自分に難聴があると答えた人は人口の11.0%で、そのうち補聴器を持っている人は15.6%です。総人口に対する所有率は1.7%にとどまります。同じ調査の国際比較では、フランスとデンマークが55%、イギリスが51%、ドイツが47%で、日本は16%と17か国中16番目です。満足度も日本の54%が17か国で最も低い水準でした。市場が伸びてきたのは普及率が上がったからではなく、高齢化で難聴のある人そのものが増えているためです。
需要を動かしている制度も押さえておく必要があります。18歳以上を対象に補聴器の購入費を助成する自治体は、2023年12月1日時点の237から2025年12月1日時点の621へと、2年で2.6倍になりました。全国1,747市区町村の35.5%にあたります。助成額は2万円から5万円が中心で、東京23区にはこれより手厚い区もあります。自治体は助成の理由として、難聴が認知症のリスクを高めるとされることを挙げています。
このページでは、出荷台数の推移、型別の出荷台数、型別の構成比の3つを追います。数値は一般社団法人日本補聴器工業会の公表値です。前年比と構成比は公表されていないため、出荷台数をもとに弊社で算出しています。この統計に月次はなく、前年1年分がまとめて公表される形です。1つのPDFに1990年からの全年が入るため、過去の数値が後から書き換わっていないかも毎年確認しています。
