はじめに
家電量販店の販売額は、2026年7月に4,770億円でした。前年同月比10.4%の増加です。この数字は経済産業省の商業動態統計によるもので、統計上の名称は家電大型専門店といいます。対象は売場面積500平方メートル以上の店舗を10店舗以上持つ企業で、上場企業に限らず全国2,643店の売上が集計されています。販売額には消費税が含まれ、店頭だけでなくインターネット通販の売上も入ります。上場企業の決算を合算した数字とは対象の範囲が違うため、水準をそのまま比べることはできません。
暦年でみると、2014年の4兆5,311億円に対して2025年は4兆9,214億円で、11年間の伸びは8.6%にとどまります。この間に店舗数は2,443店から2,657店へ8.8%増えており、1店あたりの年間販売額は18.5億円でほとんど変わっていません。市場の伸びは店舗数の増加とほぼ見合う水準で、1店あたりの販売額が押し上げてきたわけではありません。2020年に在宅需要で4兆7,928億円まで伸びたあと4年間はその水準を下回り、2025年になって初めて上回りました。
総額が動かない一方で、中身は入れ替わっています。2014年と2025年を比べると、カメラ類は2,397億円から1,392億円へ41.9%減り、AV家電も6,222億円から5,257億円へ15.5%減りました。カメラはスマートフォンに置き換わり、テレビはすでに世帯に行き渡って買い替えが中心の市場になっています。反対に通信家電は3,556億円から4,994億円へ4割増え、構成比は7.8%から10.1%に上がりました。最も大きいのは生活家電で、2025年は2兆669億円と全体の42.0%を占めます。
2026年は制度の切り替わりで月ごとの振れ幅が大きくなっています。2027年4月に家庭用エアコンの省エネ基準が引き上げられ、現在の低価格帯の多くが基準を満たさなくなるため、値上がり前の買い替えが前倒しで起きています。エアコンを含む季節家電は2026年5月に前年同月比91.6%増、7月も33.8%増となり、7月の1,169億円は生活家電全体の47.3%にあたります。
逆方向に振れたのがパソコンです。マイクロソフトが2025年10月14日にWindows 10のサポートを終了したことで、2025年後半に買い替えが集中しました。パソコンやタブレットを含む情報家電本体は、2025年9月に前年同月比63.5%増、10月は71.7%増まで伸びています。その反動で2026年6月は31.7%減、7月も21.2%減と落ち込みました。エアコンの上振れとパソコンの反動が同じ月に重なるため、総額だけを見ると市場の動きを読み違えます。
このページでは、月別と年別の販売額、6品目の前年同月比、12品目の内訳という角度から家電量販市場を追います。数値は経済産業省「商業動態統計」の公表値で、金額は原典の百万円を億円に換算しています。品目の細かい内訳は2021年1月分からの公表です。また調査対象企業の見直しにあわせて、過去の数値が遡って改定されることがあります。
