はじめに
冷蔵庫は世帯普及率がほぼ100%に達しており、市場は買い替えでほとんどが成り立っています。壊れるまで使う商品なので、需要は景気よりも買い替え時期に左右されます。年度の出荷台数は2018年度の3,954千台を最高に、2024年度の3,254千台まで6年間で18%減りました。そして2025年度に3,521千台、前年度比108.2%と反転しています。この伸び率は、統計を遡れる2016年度以降で最も高い水準です。
ただし、この反転を「市場が戻った」と読むと実態を取り違えます。同じ2025年度の出荷金額は3,835億円、前年度比96.2%で、記録が遡れる2016年度以降で最も低い水準です。台数が1割近く増えたのに金額は減りました。1台あたりの平均単価が2024年度の122,592円から108,940円へ、1年で11%下がったためです。単価は2016年度の110,828円をも下回っており、この10年で積み上げてきた高付加価値化が一度巻き戻された形になっています。
中身を分けると、動いたのは大型です。401L以上の構成比は2021年度の46.0%を最高に下がり続け、2025年度は39.2%まで落ちました。台数で見ると、2024年度から2025年度にかけて全体は267千台増えたのに、401L以上は39千台減っています。つまり増えた分はすべて400L以下で起きました。原材料価格や物流費の上昇が続くなかで、買い替えを最小限の機能で済ませる動きが出ていることが背景にあります。このページの前半で示す「台数の回復」と後半で示す「金額の減少」は、同じ現象を別の角度から見たものです。
読むときに2つ気をつけたい点があります。1つは、この統計が示すのはメーカーからの出荷であって、店頭で売れた数ではないことです。両者がずれた月には流通在庫が動いています。もう1つは季節性で、3月は新生活向けの小型が大量に出るため平均単価が大きく下がります。2023年度からの3年平均で見ると、3月の単価は99,146円で、前後の2月(120,693円)と4月(115,644円)を1万6千円以上下回ります。単価を月どうしで比べても意味がないので、前年の同じ月か年度で見てください。
