はじめに
ヨドバシカメラは非上場企業であり、決算は公開していません。そのため社員募集要項やWebサイトの企業概要などごく限られた数字しか見られません。ヨドバシカメラの特徴として挙げられるのは、ほぼ全店舗がターミナル立地であり、5,000坪クラスの大型店舗が多く、1店舗あたりの売上が巨大なことです。自社物件での出店で、最初から高い売上を確保するための店舗設計が行える点も強みです。圧倒的な品揃えも武器であり、特にカメラ用品、時計、パソコン、パソコンサプライ、オーディオ関連、玩具、ゲームの品揃えは日本一と言われています。大型店舗であるため販売員数が多く、郊外型の家電量販店では担当が置けない商品部門でも担当者を配置することができ、専門知識を持った販売員による接客ができることも特徴です。豊富な品揃えを活かしたECも他の家電量販企業より先行して取り組み、直近では年間売上2,500億円に達し、売上高構成比も30%を超え、家電量販企業のみならず、他の流通小売業と比べても独走状態にあります。インターネット販売と店舗を融合させ、いち早くネット注文品の店舗受け取りを行ったり、店舗からの自社配送でのスピードアップなど、OMO戦略でも一歩先を進んでいます。
ヨドバシカメラの売上高は、7年間を通じておおむね拡大基調にあり、家電量販店の中でも成長の持続力が際立っています。2018年度は約6,931億円・101.9%、2019年度は約7,046億円・101.7%と着実に増収を重ね、2020年度は約7,318億円・103.9%、2021年度は約7,530億円・102.9%、2022年度は約7,784億円・103.4%と、コロナ期を挟んでも増収基調を維持しました。エディオンのように2021年度に大きく反動減が出た企業と比べると、ヨドバシは売上の振れが小さく、需要変動への耐性が高い構造を持っていることがうかがえます。 2023年度は約7,560億円・97.1%と7年間で唯一の減収となりましたが、落ち込み幅は限定的です。そして2024年度は約8,162億円・108.0%と急回復し、7年間で最高売上を更新しました。前年差では約602億円の増収であり、伸長率108.0%もこの期間で最も高い水準です。2018年度比でも約1,231億円の増収となっており、売上規模を一段引き上げた格好です。 この推移から見えてくるのは、ヨドバシカメラが都心大型店の集客力とECの強さを両輪に、比較的安定して売上を積み上げられる企業だという点です。単年度の特需に依存して売上が跳ねるというより、平時でも100%超を重ねながら成長してきたことに特徴があります。今後の焦点は、2024年度の8,000億円台を一過性で終わらせず、インバウンド需要やEC成長を取り込みながら、次の9,000億円水準を視野に入れられるかでしょう。


