
投稿日:2026年8月7日
西日本の記録的猛暑がエアコンを押し上げ、6社全社が前年超え
2026年7月の家電量販6社の月次売上は、全社が前年同月を上回った。ただし伸びには106.8〜115.8%と9ポイントの開きがあり、その一因として猛暑の地域差が挙げられる。ヤマダHDは月次リリースで、前年7月に観測史上最高の平均気温を記録した北日本が反動で低調だった一方、西日本は猛暑が続いて大きく実績を伸ばしたとしている。気象庁のデータでも7月の平均気温平年差は北日本が+1.7℃(前年+4.5℃)と大きく水準を下げ、下旬は+0.1℃とほぼ平年並みまで落ちた。対する西日本は中旬+2.9℃・下旬+2.5℃と、いずれも1946年の統計開始以降で最も高い記録を更新している。中部・関西・中国地方を主戦場とするエディオンが115.6%、関西地盤のJoshinが114.9%と並んだ背景には、この差があるとみられる。ただし首位は北関東・東北に厚い店舗網を持つケーズHDの115.8%であり、地域要因だけで序列が決まったわけではない。エアコンは開示4社平均145.8%と6月の75.3%から急反発し、4〜7月累計でも各社135〜144%と足並みがそろっている。
各社の月次売上の詳細は家電量販企業月次速報ページをご覧ください
【結果】 7月は6社すべてが前年同月を上回り、6月の全社前年割れから一転した。序列はケーズHD115.8%が最も高く、以下エディオン全店115.6%、Joshin114.9%、ヤマダHD(デンキセグメント)110.9%、ビックカメラ単体108.5%、コジマ全店106.8%の順。6月に最も浅い下げにとどまったビックカメラ(97.0%)が7月は下位に回り、6月最下位のコジマ(85.8%)は7月も最下位と、振れ幅の大小がそのまま順位に表れた。エアコンは開示4社すべてが135%を超え、Joshin154.9%、エディオン153.6%、ケーズHD138.8%、コジマ135.8%と、6月の65.8〜88.6%から急反発している。7月は前年との土日祝の差がなく、6月の日曜1日減(約▲2.0%)のような暦要因の下押しもなかった。
【当社分析】 6月から7月への戻し幅を見ると、Joshinが26.8ポイント、ケーズHDが25.5ポイント、エディオンが23.5ポイントと大きい一方、ビックカメラは11.5ポイントにとどまる。同社は6月の下げも6社で最も浅く、上下どちらの局面でも振れ幅が小さい。時計・玩具・酒類などの「その他の商品」や情報通信機器が売上に占める割合が大きく、そのぶんエアコンの好不調が全体を動かす力が弱いためだ。エアコン以外に売上の柱を持つ企業ほど、季節商品の波に業績が引きずられにくい。5月・6月にも触れたこの構造は、相場が下げから上げに転じても変わらず働いている。同じ数字の動きでも、「何%動いたか」ではなく「何が動かしたか」で読む必要がある。
ケーズHDが115.8%まで伸びた背景には、猛暑の地域差に加えてもう一つの要素がある。同社は8品種のうち6品種が前年を上回り、理美容・健康113.4%、洗濯機110.1%、テレビ108.7%、調理家電108.0%、6月に83.4%まで落ちた冷蔵庫も103.6%とプラス圏に復帰した。エアコン一本足ではなく生活密着型のカテゴリーが揃って伸びたことが、西日本の猛暑を最も素直に取り込めるエディオンをわずかに上回った要因とみられる。エアコンの背景にある2027年4月の省エネ基準引き上げを見据えた駆け込み需要(エアコン2027年問題)は、4〜7月累計で各社135〜144%と足並みがそろっており、需要そのものは全国で積み上がっている。月ごとの乱高下は天候が出方を揺らした結果であって、需要の総量が地域で偏っているわけではない。
なお4〜6月期の決算はすでに出そろい、ヤマダHDは売上高11%増・純利益13%増、ケーズHDは純利益が約2倍と、増収に増益が伴っている。売上が伸びた局面で販促値引きや原価高騰にマージンを削られていないかは毎月の論点だが、少なくとも第1四半期についてその兆候は確認できない。店舗数では、ケーズHDが7月に福岡県へ小倉東インター店(売場面積5,016㎡)を出店して557店となり、3月末の556店を上回った。対照的にヤマダHDは927店(7月は出店0・退店1)で、4〜7月の売場面積増減も+4,846㎡と前期の+29,542㎡から大きく鈍化している。同じ増収局面でも、店舗網を広げにいく企業と絞り込む企業に分かれている。
来月 (2026年8月) の注目ポイント
8月は、7月の追い風がどこまで続くかが焦点となる。気象庁は8月3日の発表で、8月も西日本を中心に気温がかなり高い日が多くなる見込みとしており、エアコン需要の下支えは続きそうだ。ただし前年のハードルは7月とは様相が異なる。2025年7月の6社は90.9〜98.3%と全社が前年割れだったのに対し、2025年8月は103.4〜110.7%と全社がプラスだった。7月の二桁増には前年の低さも効いており、8月は同じ勢いで売れても伸び率は圧縮されやすい。ここを割り引いて読まないと、需要が失速したように見えてしまう。パソコンはさらに厳しく、前年9〜10月に各社159〜286%の急伸があるため、比較の壁は秋に一段と高くなる。ただし前年11月は110〜124%まで落ちるため、ハードルは年末に向けて緩む。7月に平均79.8%まで沈んだ水準がどこで底を打つかは、下期の全体像を左右する。あわせて、2027年問題を控えた駆け込みが今夏で一巡するのか、2027年に向けてもう一段の山を作るのかも見極めたい。8月期決算のビックカメラは本決算の発表が近く、反動と再加速が交錯した1年をどう着地させたか、粗利率が維持されているかを確認したい。ヤマダHDとエディオンの経営統合(2027年10月に持株会社上場予定)についても、進捗が開示されれば反応を見ていく。
各社の月次売上の詳細は家電量販企業月次速報ページをご覧ください
