
投稿日:2026年9月8日
Joshinが6社首位、テレビと携帯電話が伸長
2026年8月の家電量販6社の月次売上は、Joshin103.6%、ビックカメラ102.2%、エディオン100.7%の3社がプラス、ケーズHD99.5%、コジマ99.1%、ヤマダHD(デンキセグメント)97.5%の3社がマイナスと、半々に分かれました。全社が前年を上回った7月から局面が変わりましたが、6社の開きは9.0ポイントから6.1ポイントへ縮みました。
動きの中心は7月と同じくエアコンで、開示4社の平均は145.8%から95.6%へ低下しました。気象庁によると8月の平均気温は西日本でかなり高く、九州北部地方は月平均気温の記録を更新し、西日本の下旬は平年差+2.5℃と1946年の統計開始以降で8月下旬として最も高い水準でした。それでもエアコンが前年を下回った背景には、天候以上に比較対象の高さがあるとみられます。
ヤマダHDとコジマはいずれも、前年8月末に拡充された東京都の購買助成制度(東京ゼロエミポイント)の反動を要因に挙げています。加えて東日本の気温は、前年はかなり高い水準でしたが今年は平年並まで下がりました。パソコンは平均65.1%と7月の79.8%からさらに低下し、前年のWindows 10サポート終了に伴う特需の反動が続いています。
各社の月次売上の詳細は家電量販企業月次速報ページをご覧ください
【結果】 8月は6社中3社が前年を上回り、3社が下回りました。序列はJoshin103.6%を先頭に、ビックカメラ単体102.2%、エディオン全店100.7%、ケーズHD99.5%、コジマ全店99.1%、ヤマダHD(デンキセグメント)97.5%の順です。6社の開きは6.1ポイントで、7月の9.0ポイントから縮小しています。7月からの下げ幅はケーズHD16.3ポイント、エディオン14.9ポイント、ヤマダHD13.4ポイント、Joshin11.3ポイントに対し、コジマ7.7ポイント、ビックカメラ6.3ポイントと、7月に大きく伸びた企業ほど落ち幅が大きくなっています。土日祝の前年差はコジマ・ヤマダHDともになく、暦の影響はありません。品種別では、エアコンが平均95.6%と前年割れに転じた一方、テレビ106.3%、携帯電話127.8%が伸び、パソコンは65.1%まで低下しました。
【当社分析】 8月の数字を読むうえで最初に置くべきは、前年の水準です。2025年8月の6社は103.4〜110.7%と全社がプラスで、7月(90.9〜98.3%)とは比較の高さがまったく違いました。品種でも同じことが起きています。エアコンの前年8月は開示4社平均104.1%、パソコンは157.9%です。今年8月のエアコン95.6%は、前年をやや上回る水準を相手にした結果であり、7月の145.8%が前年78.6%という低い基準に対する数字だったのとは意味が異なります。同じ前年割れでも、需要が減ったのか比較対象が高かったのかで読み方は変わります。
エアコンについては、前年の東京都の購買助成拡充という具体的な要因が二社から示されました。東京ゼロエミポイントは2025年8月30日から対象と支給額が広がり、前年8月末の販売を押し上げています。制度自体は2027年3月末まで続くため需要が消えたわけではありませんが、月次の前年比では反動として表れます。これに東日本の気温低下が重なりました。前年8月は関東甲信地方が月平均気温の記録を更新した記録的な暑さでしたが、今年の東日本は平年並です。西日本で記録が更新される一方、東日本が平年並という組み合わせは、店舗網が東日本に厚い企業ほど不利に働きやすくなります。ヤマダHDが季節商品について西日本で前年を上回ったが東日本は低調と説明しているのは、この構図を示しています。
そのうえで当社が注目するのは、4月から7月にかけての大幅な伸びが需要の前借りだった可能性です。エアコンの開示4社平均は5月に221.9%と4社すべてが200%を超え、7月も145.8%でした。2027年4月の省エネ基準引き上げを控えた買い替えが早い段階から動いた分、夏の終盤に伸びが鈍るのは想定の範囲内です。記録的な猛暑という追い風があってなお前年を下回った事実は、この見立てを補強していると考えます。ただし1カ月の数字で判断するのは早く、9月以降の推移を確認する必要があります。
エディオンのELS事業(リフォーム計)は96.3%と、4月以降で初めて前年を割りました。エアコン107.7%で開示4社の最高だった同社でも、季節家電の来店をリフォームなどの周辺事業に繋ぐ動きは8月に鈍っています。エアコン需要が一巡したあと、来店の減少が周辺事業にどう波及するかは、反動局面での体力差として見ておく必要があります。
ヤマダHDの97.5%は、他社と同じ物差しで比べるべきではありません。同社は8月度について、退店の影響で売上高に対し約1.0%、前年の大型店開業の反動も含めると約3.0%の低下影響が生じたと開示しています。この分を差し引くと実質は100%前後とみられ、数字の低さには店舗政策の影響が大きいと考えられます。売場面積の増減も4〜8月累計で+3,457㎡と、前期の同時期(+47,307㎡)から大きく縮んでいます。一方でビックカメラは8月29日に浦和西口店を開業しました。ケーズHDは退店1で8月末556店と7月末から1店減り、Joshinは222店で変わっていません。増収の勢いが一巡したなかで、店舗網への投資姿勢の違いが表れつつあります。
来月 (2026年9月) の注目ポイント
9月は、比較の重さが一段と増します。前年9月は6社が101.5〜135.7%で、なかでもJoshinの135.7%が突出していました。ここには関西を地盤とする同社に固有の事情があります。2025年9月7日に阪神タイガースがセ・リーグ優勝を決め、同社は翌日から14日間「阪神タイガース リーグ優勝おめでとうセール」を実施しました。前年9月のJoshinはテレビ145.9%、エアコン149.6%、冷蔵庫134.1%と家電が軒並み伸びた一方、キャリアの施策に左右される携帯電話は110.9%と前月の124.8%を下回っており、セールが効いた品種とそうでない品種が分かれています。同月は4店舗の出店(216店→220店)も重なりました。2026年は9月6日終了時点で優勝マジックが18、最短の優勝決定日は9月19日です。優勝の時期が前年より遅くなれば、関連セールが9月の売上に寄与する期間は短くなります。Joshinの9月の数字は、この点を差し引いて読む必要があります。
品種別でも前年9月はパソコンが開示4社平均222.7%、エアコンが127.4%と、8月を大きく上回る水準です。10月のパソコンも前年209.9%が控えており、数字の上では9〜10月が今回の反動局面で最も深くなる可能性があります。前年11月は118.9%まで下がるため、比較の重さは年末に向けて緩みます。ここを織り込まずに読むと、実勢以上に悪く見えてしまいます。
エアコンは、8月の前年割れが一時的な反動なのか、駆け込みの一巡なのかを判断する材料が9月に出てきます。2027年4月の省エネ基準引き上げまで半年余りとなり、年末から年明けにかけて再び需要が動くかどうかも見ておきたいところです。決算では、8月期を締めたビックカメラとコジマの本決算発表が控えています。月次ベースの通期累計はビックカメラ単体107.8%、ビックカメラ+コジマ106.7%、コジマ単体は全店105.1%でした。売上が伸びた一年で粗利率が保てたか、販促の負担がどう出たかを確認します。ヤマダHDとエディオンの経営統合(2027年10月に持株会社上場予定)についても、進捗が開示されれば内容を見ていきます。
各社の月次売上の詳細は家電量販企業月次速報ページをご覧ください
