投稿日:2026年10月7日

エディオンが6社首位、Joshinは前年の優勝セール反動で82.8%

2026年9月の家電量販6社の月次売上は、エディオン103.0%、ビックカメラ102.7%、コジマ100.9%の3社がプラス、ケーズHD97.9%、ヤマダHD(デンキセグメント)97.0%、Joshin82.8%の3社がマイナスとなりました。6社の開きは8月の6.1ポイントから20.2ポイントへ広がりましたが、広げたのはJoshin1社です。関西を地盤とする同社は前年9月に阪神タイガースのセ・リーグ優勝記念セールで135.7%と突出しており、今年は優勝決定が10月にずれ込みました。Joshinを除く5社は97.0〜103.0%で、8月の同じ5社(97.5〜102.2%)から大きくは動いていません。品種別ではエアコンが開示4社平均76.3%、パソコンが46.3%と、2品種が同時に当社の7段階評価で最下位の「絶不調」に落ちました。気象庁によると9月の東日本太平洋側は降水量が平年比236%、日照時間が平年比46%で、1946年の統計開始以降の9月で最も雨が多く、最も日照が少ない月です。パソコンは前年のWindows 10サポート終了に伴う特需の反動が最も深い局面に入りました。テレビは平均104.1%、携帯電話は134.1%と伸び、ヤマダHD・コジマは祝日が前年より1日多かったことも挙げていますが、エアコンとパソコンの落ち込みを埋めるには届きませんでした。

各社の月次売上の詳細は家電量販企業月次速報ページをご覧ください

家電量販企業6社 売上高 前年同月比(2026年9月)

※出典は各家電量販企業のIR情報。数字は売上POSデータに基づいて作成したもので速報値であり決算等の数字とは異なります。
企業2026年9月前月(8月)備考
ビックカメラ102.7%102.2%コジマを除く。テレビが好調で音響映像104.5%。情報通信90.5%はパソコン本体とスマートフォンが低調。その他118.6%
コジマ100.9%99.1%テレビ117.5%・携帯電話132.7%が牽引。エアコン64.7%は前年の東京都助成の反動と天候不良
ヤマダHD(デンキセグメント)97.0%97.5%祝日が1日多い暦のプラス。出退店の影響で約▲4.0%。携帯電話は単価上昇で大幅増
エディオン103.0%100.7%6社で最も高い。テレビ115.0%・洗濯機110.4%が堅調。エアコン103.1%は開示4社で唯一のプラス。パソコン40.2%
ケーズHD97.9%99.5%8品種中4品種がプラス。テレビ114.3%・調理家電109.2%。パソコン・情報機器46.5%は8品種で最も落ち込みが大きい
Joshin82.8%103.6%前年9月135.7%(阪神タイガース優勝記念セール)の反動。携帯電話135.4%のみ伸長

【結果】 9月は6社中3社が前年を上回り、3社が下回りました。8月に首位だったJoshin(82.8%)が最下位に転じ、6社の開きは6.1ポイントから20.2ポイントへ広がりましたが、Joshinを除く5社は6.0ポイント差に収まります。前月から水準を上げたのはエディオン・コジマ・ビックカメラ、下げたのはヤマダHD・ケーズHD・Joshinです。暦はヤマダHD・コジマがともに祝日の前年差+1日と開示しており、プラスに働いたとみられます。品種別では、エアコンが開示4社平均76.3%と8月の95.6%からさらに低下し、パソコンは46.3%、冷蔵庫・洗濯機は94.7%、テレビは104.1%、携帯電話は134.1%でした。Joshinは携帯電話135.4%を除く全品種が大幅な前年割れです。

【当社分析】 Joshinの82.8%は、他の5社と同じ物差しで並べるべき数字ではありません。同社は9月の概況を開示していないため以下は当社の見方ですが、関西を地盤とする同社の前年9月はグループ計135.7%で、9月7日に決まった阪神タイガースのセ・リーグ優勝を受けた記念セールが効いていました。今年の優勝決定は10月3日、セールは10月4日から30日までとなり、9月には前年の反動だけが残ったとみられます。これは水準の崩れではありません。今年と前年の前年同月比を掛け合わせて2年前と比べると、Joshinは112.4%で6社のうち最も高くなります(ビックカメラ110.2%、エディオン104.5%、コジマ104.3%、ケーズHD101.5%、ヤマダHD99.4%)。Joshinを除く5社も97.0〜103.0%で、8月の同じ5社(97.5〜102.2%)から大きくは動いていません。同じ形は前回の優勝時にも出ています。阪神が優勝した2023年9月の同社は121.0%、反動が出た2024年9月は72.8%でした。注目したいのは品種の内訳です。2024年9月はテレビ57.0%、エアコン70.5%と落ち込む一方、携帯電話だけが106.4%と前年を上回りました。今年も携帯電話135.4%だけが伸びています。優勝セールのような地域イベントは来店を増やしますが、キャリアの販売施策で動く携帯電話はその恩恵を受けにくいようです。

エアコンの76.3%は、天候だけでは説明がつきません。概況を開示している3社はそろって天候を挙げており、ヤマダHDは「東京など降雨日数が例年以上となった地域では、夏物商品の販売が鈍化した」、コジマは「天候不良が長く続いた」、ビックカメラは「天候不順の影響」と説明しています。ただし気象庁の記録を見ると、降水量と日照時間は西日本太平洋側でも「多かった」「かなり少なかった」で、東西で分かれたのは気温のほうです(西日本が高く、東日本は平年並)。4社の数字を2年前と比べても、ケーズHDとエディオンがともに95.2%、Joshinが95.7%、コジマが89.2%で、地盤の東西では並びません。各社の差を生んでいるのは、天候よりも前年の水準です。前年9月のエアコンはケーズHD129.9%、コジマ137.9%、Joshin149.6%と高く、エディオンだけが92.3%と前年割れでした。今年エディオンが唯一のプラスになったのは、比較の相手が低かった分がそのまま出たためとみられ、販売力の差と結びつけることはできません。そして記録的な天候ではなかった2026年6月も、4社平均は75.3%と9月とほぼ同じ水準でした。天候は押し下げの材料の一つではありますが、4月・5月・7月はいずれも4社平均が145%を超えており、この伸びが需要を前倒しした影響も続いているとみています。

パソコンの46.3%は、4社がそろって開示している2021年4月以降で最も低い水準です。ただし前年9月の開示4社平均が222.7%だったことを踏まえる必要があります。コジマは9月の月次速報で、パソコンの前々年比を107.2%と開示しています。他の3社は2年前比を開示していませんが、今年と前年の前年同月比を掛け合わせて当社で試算すると、いずれも89〜102%の範囲に収まります。需要そのものが消えたのではなく、Windows 10サポート終了前の特需の分が落ちた、という読み方が実態に近いと考えます。もっとも、2年前の2024年9月は4社とも前年割れだった月であり、戻った先の水準自体が高いわけではありません。

ヤマダHDの97.0%は、祝日が1日多い暦のプラスがありながら前年を下回りました。同社は概況で、Windows 10サポート終了前の特需の反動によるパソコンの大幅減とゲーム機の低調を挙げ、これらが全体の実績を押し下げたとしています。加えて9月度は、退店で約1.0%、前年の大型店開業の反動も含めると約4.0%の低下影響が生じたと開示しました。この押し下げは8月の約3.0%から広がっています。この分を差し引けば実勢は前年並みとみられ、97.0%という数字の低さは、需要よりも商品構成と店舗政策によるところが大きいと考えられます。

品種別の分析 (2026年9月)

絶好調 120%〜好調 105%〜やや好調 102%〜横ばい 98%〜やや不調 95%〜不調 80%〜絶不調 〜80%
商品 / 評価
結果
当社分析
エアコン
絶不調
平均 76.3%
エディオン 103.1% が開示4社で唯一のプラス。ケーズHD 73.3%、コジマ 64.7%、Joshin 64.0% はいずれも7割前後まで落ちた。4社平均は8月95.6%、6月75.3%。
東日本太平洋側は1946年以降の9月で最も雨が多く最も日照が少なく、概況を開示している3社がそろって天候を要因に挙げている。ただし西日本太平洋側も多雨・日照不足で、東西で分かれたのは気温のほうだった。2年前と比べるとケーズHD・エディオンがともに95.2%、Joshin95.7%、コジマ89.2%で、地盤の東西では並ばない。各社の差は前年の水準の差で、エディオンの唯一のプラスは前年9月が92.3%と4社中唯一の前年割れだったことによる。記録的な天候ではなかった6月も75.3%で、天候だけが押し下げたわけではない。
パソコン
絶不調
平均 46.3%
コジマ(本体)67.3%、ケーズHD(情報機器含む)46.5%、エディオン 40.2%、Joshin 31.2%。前年9月の開示4社平均は222.7%。
Windows 10サポート終了に伴う特需の反動が最も深い局面で、4社がそろって開示している2021年4月以降で最も低い。コジマは前々年比107.2%を開示しており、他3社も当社の試算では2年前比89〜102%に収まる。需要の消失ではなく特需分の剥落とみられる。ただし比較対象の2024年9月も4社とも前年割れの月で、戻った先の水準が高いわけではない。
テレビ
やや好調
平均 104.1%
コジマ 117.5%、エディオン 115.0%、ケーズHD 114.3% の3社が14%以上のプラス。Joshin 69.4% が平均を押し下げた。ビックカメラの音響映像商品も104.5%。
Joshinを除く3社の平均は115.6%で、2026年に入って最も高い水準。コジマはminiLEDモデルの好調と販促施策の効果を挙げており、8月に続いて単価の高い機種への置き換えが進んでいるとみられる。ヤマダHDもテレビを堅調な品種として挙げた。Joshinの69.4%は前年の優勝セールでテレビが145.9%だった反動で、業態や商品の問題ではない。
冷蔵庫・洗濯機
不調
平均 94.7%
冷蔵庫はエディオン 102.9%・ケーズHD 96.2%・コジマ 89.8%・Joshin 65.5%、洗濯機はエディオン 110.4%・ケーズHD 108.1%・コジマ 104.8%・Joshin(クリーナー含む)80.2%。
底堅いのは洗濯機で、Joshinを除く3社の平均は107.8%。ヤマダHDも堅調な品種に挙げている。一方で冷蔵庫は同3社平均96.3%、プラスはエディオンだけでコジマは4カ月連続の前年割れ。ビックカメラも概況で冷蔵庫をやや低調としている。同じ白物でも品種による差が8月よりはっきりした。
携帯電話
絶好調
平均 134.1%
Joshin 135.4%、コジマ 132.7% と開示2社がともに3割以上の増加。前年(2025年9月)の2社平均106.4%を大きく上回った。
前年9月も新型スマートフォンの発売月だったため、新製品の有無では前年比の伸びを説明できない。ヤマダHDは「単価上昇により前年売上を大きく上回った」と明記しており、価格の上昇が売上を押し上げた面が大きいとみられる。コジマは新製品に加えて旧モデルの好調も挙げている。天候や季節性に左右されないため、エアコンが落ちた月の下支えとして働いた。ただしビックカメラは情報通信機器商品の概況でスマートフォンを低調な商品に挙げており、開示2社と逆の説明になっている。同社は品目別の数字を開示していないため、違いの要因は特定できない。
※出典は各家電量販企業のIR情報。数字は売上POSデータに基づいて作成したもので速報値であり決算等の数字とは異なります。

来月 (2026年10月) の注目ポイント

10月に見ておきたい点は4つあります。

1つはJoshinです。阪神タイガースの優勝記念セールは10月4日から30日まで実施され、Webショップは優勝が決まった10月3日の22時30分から始まりました。前年のセールは9月8日から30日までで10月には及んでいないため、今年は10月の数字に丸ごと乗ります。ただし前年10月の同社は113.3%と高く、単純な上振れにはなりません。9月の82.8%と合わせて2カ月で見ないと、同社の実勢はつかめないと考えています。

2つ目は、6社に共通する比較の重さです。前年10月は6社がそろって107.6〜113.3%で、全社が7%以上のプラスでした。品種別でも前年10月はパソコンが開示4社平均209.9%、エアコンが114.1%です。パソコンの反動は10月まで深く残り、比較の相手が11月に118.9%まで下がって、ようやく数字が戻りやすくなります。

3つ目はエアコンです。前号では、8月の前年割れが天候によるものか駆け込みの一巡によるものかを9月に切り分けたいと書きましたが、記録的な多雨と日照不足が重なったため判断できませんでした。10月は天候の振れが小さければ、需要の実勢が見えてきます。2027年4月に始まる新しい省エネ基準は、資源エネルギー庁によればメーカーが出荷する製品全体の平均に課されるもので、消費者が買い替えを迫られる制度ではありません。ただし同庁も「省エネ性能の向上に伴い、エアコンの販売価格が上がる可能性があります」としており、値上がりを見越した購入がどこまで続くかが論点になります。

4つ目は決算です。10月8日にコジマ、10月9日にビックカメラが2026年8月期の本決算を発表します(いずれも予定)。売上が伸びた一年で粗利率が保てたか、販促の負担がどう出たかを確認します。ヤマダHDとエディオンの経営統合については、2026年6月5日の基本合意から最終契約が2027年5〜6月、持株会社の設立が2027年10月1日の予定です。

各社の月次売上の詳細は家電量販企業月次速報ページをご覧ください